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ミイラ世界にいざなう魔宮の人々はいったい何を

先日、上京した折、ちょっと暇が出来たので上野へ行った。
上野、といったら、ホームレスの年寄りが露天床屋で散髪されているのをしみじみ見守ったり、不忍池で乱暴な多すぎる鴨どもに取り囲まれたり、アメ横で中国人に「真正宗(超本物の)刀削緬!来吃バ吃バ!」って中国語で怒鳴られ(ナゼいつも私はこうなのか?私は前世で中国人に何かしたのか?)たり、

ああ、東京に上野があってよかった

という程、私は上野が好きだ。
ま、上野は田舎もんの東京、だからして、駅を基点に何でもあってわかりやすいよね。
最近は、中国人にショバをのっとられたのか、雑踏にイラン人を見なくなったのがさびしい。

で、一番すきなのは上野の丘であるが、これはもう、博物館の密集地帯であるから。
ああ!世界の全てをこの私の教えてよ(博物館の枕詞。このフレーズは良く出るから覚えようね!)博物館ったら」って、博物館好きの私にはたまらない場所だ。

今回の物件は、国立科学博物館、である。

日本は数の上で言えば、博物館大国、といっていいだろうが、その大部分は美術、歴史などの文科系博物館で、科学系博物館(除く動植物園や水族館)は本当に少ない。

ほんとーうに、少ない。

強調の意味をこめて、つい2度書いてしまうほどだ。
いろんな博物館が目白押しの東京首都圏住民の人々には、ちょっとわかりにくいだろうから、もし、他県へ旅行に行くとき、ちょっと調べてほしい。

本当にないから、科学系博物館。
あっても、自然と文化系の融合した展示の博物館とかが最近の主流なので、純粋な科学系博物館は、実はちょっと珍しい。
日本人、科学、嫌いなのかしら?

で、その総本山(ショッカー!キー! ←こらこらこら、総本山、という言葉は「悪」とお揃いじゃない)が、
上野の国立科学博物館なのである。この博物館、古い西洋館に死ぬほど剥製が詰め込まれ、あの、ほのかーに揮発する薬剤と埃の匂い漂う薄暗いまさに
「WELCOME TO THE HELL HOUSE !」
って言うにふさわしい風情の由緒ただしい博物館ぶりだったのであるが、近年、新館が開館し、

ちょっと奥さん、山田さんの奥さん、みましたぁ?最近、きれーよねー、フェイスリフトかしら!?

てな、あかぬけさ加減らしい。

これは、見ないといけない。義務です。

今回は時間がないので、新館のみの見学とした。ちなみに西洋館の旧館は改装中で休館中である。
で、新館の展示であるが、一言で言えば、さすが国立博物館なので是非見に行きましょう、のレベルであった。
展示規模は国立級としてはちと狭いし、地下1階地上3階のビルに展示がみちみち詰め込まれてちょっと順路がわかりにくいのは何とかしてほしいなぁ、という気もするが、内容は充実しているので、まあよしとしよう。資料保存と展示が高い教育効果を狙って融合しているのは、好感が持てる。子供から大人まで、
「求めよさらば与えられん、ああ、博物館たら全て教えてよこの私に!」
何がしか、レベルに合わせて繰り返し学ぶことが出来るだろう、いい博物館であった。ミュージアムショップも、お土産の買い物のしでがありそうで、ここでも中国人が大声で買い物していたよ。
2時間しか見学時間がなかったので、ゆっくり見学できず。旧館新装開館の折にはまた行こうと思う。

しかし、だ。
問題がなかったわけでは、ない。
現在開催中の期間限定、特別展「大英博物館エジプトミイラ展」である。

この展示、上野駅、構内から大々的に宣伝しており、丘への道すがらでも宣伝しており、博物館入り口でも呼び込みがしつこく宣伝しており、新館入り口でもしつこくしつこく宣伝しており、タダでさえわかりにくい新館入り口を素敵にわからなくしてくれていた。

だーかーらー、時間ないから、見てる暇ないって言ってるでしょう!

って、この館内に沢山配置された呼び込み(順路誘導の職員)の人々をふとみると、おそろいロゴの付いた黒くて長い防寒コートにプラカードという、歌舞伎町あたりで見かける風俗の呼び込みとおんなじ格好なのであった。
油断していると、つい中に誘導されてしまいそうになるのも、新宿の怪しいお店とよく似ている。
「ただいま大英博物館ミイラ展開催中でございマース!是非、是非お見逃しなく!入り口はこちら入り口はこちらでーす!」
って、
「ただいま特だし花びら回転中いらっしゃいいらっしゃいしゃっちょーサン!」
と、おんなじやないか、こらぁ!
中にいるのが、活きてる人間なのか干からびた死体なのか、という大きな違いはあるが、

君たち!科学の殿堂で、そんなことをしていいのかねぇええええ!
さ、さすがは総本山!ショッカーきぃー!

と、こめかみに青筋を立ててしまいたくなったのであった。
ま、古代人の身体と歴史の解明にミイラ研究は重要で、十分に科学的だけど、ミイラ見たさに見学に行く人々の心の中には19世紀のミイラ解体ショウに群がっていたイギリス民衆と同じ部分があるんじゃないかなぁ、ともおもえるので、まぁ、これは似ていてもしかたないかも。
なにが、彼らを駆り立てるのかなぁ。

「性と死」は横つながりでとっても仲良し。

なんだかんだいっても、ミイラは人間の死体、なのである。
近年の化石人骨やミイラの展示には
「これらは過去になくなった人々のなきがらであるので、敬意を払って見学してください」
という但し書きがつけられていることもあり、死者に対する配慮もされてきているんだろうけど、この手の展示の根っこに潜むものは、やっかいだ。
なんで、わざわざ死体を、見に行きたくなるのかなぁ。
実は、駅から続く展示会の宣伝にこの辺の配慮がアンマリ感じられなかったので、この辺も展示を見なかった理由の一つ。きっと、過去にやった「人体の世界(プラスティネーション)」展と同じノリの部分が、あるんじゃないのかなぁ、んんー?

俺様、下種かしら。

でも、一番の理由は、イギリスの本家で沢山見ているからなのであった。すんまへん。
ちなみに、90年代末期の大英博物館のエジプトミイラの展示場は物置臭い資料室(ガラスケースに結構な密度でお棺やミイラが詰め込まれている状態)だったので、資料的価値は置いといて一見さん向けの展示としてはあんまり面白くなかったけどね。

で、ミイラポン引きどもを振り切って、新館展示場を見学していると、ここにもまた博物館のおそろいの制服を着た連中がうろうろしている。

あ!ミイラだ!

って、この人たちは、博物館展示ボランティアなのだが、年寄りばかりなので、ちょっとミイラに近かったのだよまぎらわしい、って、すいませんすいません、殴らないでください私を。鼻血でますから。

よく考えると、この博物館の展示品はありとあらゆる動植物の剥製で、それはやはり、ありとあらゆる死体なのであった。
やっぱ総本山は、一味違うな。
もしかしたら、科学系博物館が少ない理由は、これかも。

死体の詰まった博物館なんて、怖いじゃないか。

和気藹々と第2の人生を楽しんでそうな、お年寄りばかりのボランティアの方々と科学実験教材で勉強忘れて楽しく遊ぶ小学生達をみていると、なんだか、みょ-うな気持ちになった上野の総本山なのであった。

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コメント

同じ人体展示でも展示物を「プラスティネーション」と呼ぶか「プラストミック」と呼ぶかで、内容というか性格が違うらしいです。

投稿: だりさ | 2007/01/26 06:32

上野の科学博物館がリニューアルオープンしました!
http://www.kahaku.go.jp/news/2007/0417open/info.html
って、スパム風ですな。

投稿: すずはま | 2007/04/24 00:20

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