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しみじみとした、あの味ども 2

あんまりしみじみしてしまって、もう1カ月近いよね、最後の書き込みから。

しみじみショーっク!

最近は、何もかもが、しみじみなんだよ。
入梅したことだし、チャイがうまいよね。てなわけで、去年、インドで書いた雑文から。
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おのぼりさん茶

日本では、霧のなんとか、なんて商標にも使われるダージリン茶でおなじみのダージリン。英領時代の古い家々や寒冷な気候、それから世界的に有名な茶畑見学にやってくる国内外の観光客が後をたたないインド有数の観光地でもある。

寒冷な気候、町並みや茶畑見学の後は、かの有名なダージリン茶を産地でたしなみたくなるのが人情というもの。町の中心のチョーラスター広場辺りには観光客相手の英国風カフェや、美しくパッキングされた茶葉が売られている土産屋が点在し、世界的に有名な茶の生産地に来たという気持ちも高まろうというもの。
カフェの扉をくぐれば、自国では絶対茶をたしなみそうにない唇ピアスの西洋人バックパッカーの若者や、どこへ行ってもあられもなく騒がしいインド人観光客一家が茶をたしなんでいる光景が見られる。
茶は1ポット25ルピーほどと、手ごろな値段。
英領時代から経営しているベーカリーではインドの他都市ではなかなか見られない豪華な見た目の西洋式ケーキなどの菓子類も販売されていて、結構なことである。

が、こういったカフェの茶の味はどうかといえば、そううまいものでない。
まったくもって悪くないのだが、少なくとも日本では簡単に入手可能な品質のもので、何もありがたがって飲むほどのものではないと、そう思う。まぁ、いつもべたべたに甘い栄養の味のするチャイしか飲まないインド人や飲茶の習慣のあまりない西洋人(イギリス人ですら、リーフのストレートティーはほとんど飲まない。砂糖、ミルク入りは当
たり前)には結構いい感じに手ごろなのかもしれない。

私はこれを「観光おのぼり茶」と呼んでいる。

初めてのダージリン滞在では、私もこうした「おのぼり茶」にあこがれた口だった。
が、実はこうした「観光おのぼり茶」の歴史は、そう古くないと思う。
少なくとも私の記憶にある限り、16年前、初めてダージリンを訪れたときには、現在のように茶を供する一般カフェはなかったと思う。1、2の高級ベーカリーをのぞき、こうしたおのぼり茶を飲むには高級ホテルのラウンジに行くしかなかった。当時、若くて、資金に乏しい旅行者だった頃で、高級ホテルなどは敷居が高くて、とても入れたものでない。
が、なんといっても高級紅茶ダージリンの産地にいるわけであるから、ぜひ、茶は飲んでみたい。
そこで、道端のお茶売りのところへ行き、ミルクなしのお茶を注文してみた。
この道端茶屋は注文があると、煮出した茶にミルクと砂糖を入れるやり方で、ずいぶんとおしゃれな感じした。それまで旅した場所では、煮出した紅茶液に牛乳と砂糖とスパイスを入れてクタクタに煮込んでしまう方法が多かった。それに煮出しているとはいえ、なんといっても、ダージリンのお茶屋である。道端だろうなんだろうが、使ってる茶葉はきっとまともなものにちがいない。そういう思惑だった。

茶屋はほんとにそんなもの飲めるのか、という顔をして薬缶に煮出した茶をミルクと砂糖抜きでくれた。

猛烈に苦く、渋かった。
長時間煮しめた紅茶の味。

注文した手前、何とか全部飲み干した。
本当にひどい味だった。
あんまりひどいので、ミルク、砂糖入りの茶を口直しに飲んだほどだった。

その後、旅慣れてくるにしたがい、茶葉店で最高級の葉を少量買い、ホテルの自室で小型電熱湯沸かし器を使ってお茶を入れるようになった。また、旅の予算もほんの少し豊かになり、数年後には高級ホテルのラウンジ茶も飲めるようにもなり、あんなことは過去の話となった。

2006年のダージリン滞在では、街中カフェの「おのぼり茶」を結構楽しんでいる。
カフェで茶を飲みつつ「初体験インド」を声高に語る若い旅行者達を横目に見ていると、かっての私のように、いじましい経験をすることがあるのか、とちょっと気になる。
そして、茶屋にすら笑われた、あのひどい味をひそかに思い出す。

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コメント

名物にうまいものなし、ちがうかな?(5 7 5)

投稿: すずはま | 2007/06/20 10:40

>名物にうまいものなし
ぅうーん、この場合はそう言っていいのかなぁ。
なにせ、たっかい金さえ払えば、信じられないほどうまいダージリン名物、ダージリン茶は、世界中で買えるわけで。
日本の某有名茶屋では、30グラム1500円、つーとんでもないものまで売ってますしね。
ただ、産地で最高級種の茶は売られてないのも事実(観光客品質は買えるけど、すごいのはやはりデリーとかカルカッタに行かないと売ってない)なんですわ、はい。

投稿: たこちーう | 2007/07/01 13:04

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